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「 シャブ! -知られざる犯罪地下帝国の生態- 」 趙甲済著 黄民基訳 1991年 JICC出版局
( 著者の趙甲済氏は韓国の新聞記者であった )1970年代、釜山で警察詰めの記者生活を送りながら、
私は、シャブ( 覚せい剤 )がもたらす途方もない利ザヤに目がくらみ、灯火に飛び込んでくる
虫のように密造・密輸に群がる数多くの犯罪者たちと出会い、興味を抱くようになった。そして、
日本の組織暴力団が背後勢力としてからみ、国際的な規模と機動性をもったシャブ犯罪の取材に
興味をもちながら取り組んでみて、初めて問題の深刻さに気づかされた。
私は1984年1月、シャブ問題を取材するため日本へ出向いた。当時、日本で流れているシャブの
大部分は韓国から密輸入されたものだった。日本の警察はシャブ犯罪を最大の社会問題として考え、
その対策に総力を傾けていた。わずか数十名の専従員をもって、数千人のシャブ犯罪者たちを追いながら、
泥沼にはまりこみ、犯罪者たちの誘惑に乗ってもがき苦しんだりしている韓国の捜査の実情は
あまりにも安易だった。当時、韓国の政府やマスコミは、シャブ問題を「 対岸の火事 」を見物する
ように見ていた。数百万人にものぼる日本の常習者たちが常用しているのは、ほとんど韓国で作られた
シャブだったが、韓国では、常用者が少なく、日本への密輸出で多額の外貨を稼いでいるのではないか
という安堵感が広がっていた。当時の韓国のシャブ対策はあまりにも心もとなかったのである。
シャブ事件の被告人の弁護を担当して「 シャブ密造者は外貨を稼いでくる愛国者だ 」
と語る弁護士さえもいた時代である。