08/06/06 02:19:24 pKyNaNWw
『その帽子はちょっと…』
「おはよう、ニホンちゃん」
「ネパール君おはよう…あれ?いつもの帽子は?」
ネパール君の頭に、あるべきモノがありません。
いつもは、レトロ調で煌びやかな飾りのある独特の帽子をかぶって登校してきていました。しかし今は、別の意味で特徴的な帽子を被っています。
「あぁ、あの帽子ね。もう処分する事にしたんだ。」
「えーーーー!!」
ニホンちゃんは反射的に素っ頓狂な声を上げてしまい、あわてて口を押さえました。
その帽子は古くて貴重な帽子なのだと、ネパール君から聞いた事があります。
「もったいない! 処分なんてもったいないよ!」
ニホンちゃんもこういう古い帽子を大事に使ってきています。そのせいか、古いモノが失われるのはどうも黙っていられません。
「いやぁ、もう大分痛んでるし、汚れも酷くなってきたしね。」
「洗ったり繕ったりすればまだ十分使えるんじゃないの?」
「そうでもないよ。裏地とかに頑固な汚れが着いちゃってどうにも落ちないし。飾りを直そうとした事もあったけど、かえって壊れちゃったし……こりゃもう駄目かなと。」
「しかしネパール、流石にその帽子のデザインはどうかと思うアルぞ」
今ネパール君が被っている帽子は、一見地味ながらも赤毛の目立った飾りを備えており、何とも異様^H^H独特な雰囲気を醸し出しています。
「あれ?赤ってチューゴ君の趣味じゃなかったっけ? てっきりチューゴ君がプレゼントしたのかと…」
「ちっがーう!! いくら朕の好みが赤でも、あんな妙ちきりんなデザインの帽子を勧めたりはしないネ! どいつもコイツも妙な勘違いしおって迷惑アル!」
「ねぇねぇ、古い帽子を捨てちゃうのは勿体無いよぅ、ネパール君」
「悪趣味にも程がアルね、まだ前の方がましネ、ネパール」
言葉は違えど、ニホンちゃんとチューゴ君は珍しく意気投合して、古い帽子に戻すよう訴えます。しかし…
「いいの! 僕はこれが気に入ったんだから!」
ネパール君の意思は固いようです。