07/11/23 18:25:05 YvJu4Kc/
『おいしく御座いませんわ!』
パーカーさんはエリザベスちゃんのお家の執事です。
屋敷を取り仕切る手腕において並ぶ者はありません。
とは言え、気むずかしいお嬢様を相手のお昼のメニュー選びは頭痛の種。
「お嬢様。本日は、野菜の地中海風グリルとサヤエンドウのリゾットで御座います」
うやうやしく並べられる、シェフ自慢の逸品。
“これならば、いかにお嬢様とて何も申されまい”
パーカーさんは内心ほくそ笑みます。
「パーカーさん、これ、下げていただけません?」
「はぁ、今なんと……?」
思いもかけない冷たい言葉に、パーカーさんは耳を疑います。
困惑するパーカーさんをよそに、
エリザベスちゃんはきれいな眉をしかめました。
「この、チーズくさいお料理を下げていただけません?
これではわたくし、食べた気がいたしませんの」
言い終わると、ポケットからチョコバーを取り出しすと、
がぶりとかじりつき、満足そうな顔をしました。
“お父様はお肉ばかり。お嬢様はチョコバー三昧とは。
とほほほ……”
深いため息を吐きながら、パーカーさんはお皿を下げました。
パーカーさんの苦悩は、しばらく続きそうです。