08/05/31 16:36:58 gQiECzYn
『肩を寄せ合い角突き合わせ』
小学5年は成長期。
中でもここ最近急に背が伸びてきたチュウゴ君には、
オンナコドモサイズの机と椅子は小さすぎてなりません。
「おおう、何事アルか、この窮屈さは?
今日は、いつもにもまして狭苦しいアル!
まるで、隣の机がこっちへ向かってきているかのような……」
さては夕べ、寝ている間にまた一回り体が大きくなったか?
と、思ったら、
実は本当に隣の机の主が、
きしむ音とともにチュウゴ君を机ごとあちらにおしやろうと全力奮闘中。
「おのれイン堂! 貴様、どんな恨みがあってこのような無礼を!」
「やかましい、俺だって狭いんだよ!
つべこべ言わずに向こうへ行けったら、行け!」
「「やるのか、こいつ!」」
奴がやるなら俺もやる。
がしがしけり合う足と足。
押しつけ合う、むき出しの肩。
不毛でむさ苦しいヤロー同士の静かな戦いは、
汗と怨念と歯ぎしりの音だけを残し延々と続きました。
「チュウゴ君。ねぇ、チュウゴ君たら、ちょっと危ないよ?」
「うるさい、小ニホン! 何が危ないアルのか失礼な!
用件があるなら、手短に言うアル!」
ちょいちょいと背中をつつくニホンちゃんを横目で睨んだその途端、
静かな均衡が一気に崩れ、チュウゴ君は机ごと横倒しになりました。
「チュウゴ君。私の言いたかったこと、判ってくれた?」
チュウゴ君の返事はありませんでした。