08/01/01 20:25:19 EovVzuIW
『引っ張りだこのニホンちゃん』
「おかあさん、おはよう」
「おはよう。今年最初のお寝坊さんね」
お母さんの笑顔。こたつの上には、すでに祝い箸を添えたお雑煮と大皿に盛ったお正月料理。
少し改まってお父さんとお母さん、それに弟のたけしくんに新年のご挨拶。
「さくら、ずいぶん眠そうね。いったい何時まで起きていたの?」
「へへ、お姉ちゃんはね、昨日もみんなのところで漫画の貸しっこして遅かったんだよね?」
新年最初の朝ご飯の間も、話題になるのはニホンちゃんの交友関係。
めっきり腕を上げた漫画のご威光宜しく、彼女もいまやちょっとしたカリスマなのです。
「ほら、お姉ちゃん宛の年賀状だって、漫画のキャラばっかり。ほらほら」
「こら、人の年賀状!」
はしっ、とウヨ君からひったくった年賀状には、確かにキャラもの絵柄ばかりが踊っています。
「私、今年はニホンの妹になりたい!」とは、ラスカちゃんから。
なぜかリクジさんからはカスタムしたプラモの写真。
圧巻なのは、ロシアノビッチくんの妹たちから来た、全員コスプレした写真付き。
「ボ、ボ、ボク、死のノート見つけたんだ、本当だよ」とはベルギーくんから。
「ふふふ、本物のノートは朕の手元にあるアル」とはチュウゴくんです。
「今年も漫画のお手伝いさせて下さいニダ」とはチョゴリちゃんです。
「うわあああ……」
自分がまいた種とはいえ、あまりの影響力に自分でもびっくり。
こりゃ、これからこの人たちとどうつきあってゆけばいいかと悩んでいると、
ばん、と両手をこたつの上に打ち付けて、黙っていたお父さんがついに口を開きました。
「よし、判ったさくらよ! そんなに漫画が好きなら、お父さんにも考えがある!」
「はい?」
「おまえ、自分の漫画をもって、日ノ本家の文化をよそに広げる伝道者と成れ!」
「お父さん、それ本気!?」
もちろん、お父さんの燃える瞳に嘘などありませんでした。
おしまい。