07/07/11 16:04:58 RYy/x2Pn
「 鷲の住処 」
学校の帰り道、エリザベスちゃんとゲルマッハ君がお話しています。
「最近アジア町がきな臭くなってきましたわね」
「昔のユーロ町のようになるのかな」
「大通りに面していないチューゴやカンコが不相応な買い物してるのを見ると、
昔のロシアノビッチや誰かさんを思い出すわ」
エリザベスちゃんがくすっと笑うと、ゲルマッハ君は少し口を尖らせました。
「家の立地がいいからって見下されても困るけどね。」
「ウチだって楽ばかりしたわけじゃないわ。苦労していい土地を押さえましたもの」
するとゲルマッハ君が疑問を呈しました。
「でもいくら便利なところを抑えたって、結局は力ずくで乗っ取られるんじゃないか?
力で勝てば、土地は後から手に入るだろう」
「それは土地に住むものだって目で見ているからよ。
色んな所に行くのに行き来するっていう目で土地を見ないと。
事が起こる前に勝っている、そんな場所を人より先に確保することが大事なのよ。
危険ではあってもね」
この2人の家は、先祖代々ユーロ班の強豪として覇を争ってきました。
駆け引きや陣取り合戦については、それぞれ一家言あります。
そのために、こうして話していても玄人染みた物になってしまうのです。
「でもベス、便利なところは誰でも近づき易くて守るのに苦労する。
奥に引っ込んで構わないんじゃないか?
力さえあれば、通りたい所はいつでも通れる」
「貴方らしいわね。でも、それは狼か熊の考え方よ。
何かの時に出遅れてからでは遅いわ」
その引っかかる言い方にゲルマッハ君は聞き返します。
「へえ、僕が狼なら君は何かな?」