07/06/14 00:30:44 EHOg6EgH
「 優しさが足りない 」
ある日、日之本家の子供たちが学校に来ると、
壁新聞が貼ってあるのが目に留まったので、
ニホンちゃん、ウヨ君、アサヒちゃんは並んでそれを読み始めました。
『最近、町の一部で心配な傾向がある。
周囲の忠告も顧みずいたわるべき人を苦しめ、
それでいて、家族には家に対する偏狭な誇りを持たせようとする動きがそれだ。
誇りを持つこと自体は間違っていない。
運動会の時の事を考えればわかる。
誰だって優勝して自分の家の旗が揚がれば嬉しい。
だが、嬉しさのあまりはしゃぎすぎてはいないか。
そこに少数意見を無力なものにしようという意図が見え隠れするなら問題だ。
家をまとめたいのなら、互いの立場を尊重しあう優しさこそが最も必要ではないか。
また、いくら隣人に迷惑をかけられたからと言って、
人と会うごとにそれを連呼する態度もいかがなものか。
声高に自身を被害者と言いながら、強硬路線をとるという態度に傲慢さはないか。
弱者に配慮した円満な家族関係と、隣人との信頼関係を築くことが
選ぶべき道ではないか。
だからチューゴよ、運動会を上手くやりたかったら考え方を改めた方がいい。
アメリーより 』
ウヨ君は言いました。
「いい事言うなあアメリーさんは。な、アサヒ」
振り向くとアサヒちゃんは逃げるように走り去っていきます。
「アサヒ、ちょっと待って欲しい!」
おしまい