07/04/30 09:25:26 MdfDvPeM
『8つの大切、8つの反省』
チューゴ君はこのごろいつもお経のようなものを唱えています。
「♪祖国熱愛・奉仕人民・科学崇拝・勤勉労働・団結互助・誠実信頼・法規順守・刻苦奮闘~♪」
耳にタコができるくらい何度も何度も繰り返すものですから、ニホンちゃんはこれは一体何なのかと興味を
持ってチューゴ君にたずねました。
「チューゴ君、あなたのおうちの御宗旨はマル教でしょ。お経なんか唱えていいの?」
「何を言うアルか。これはお経ではないアル。『8つの栄誉、8つの恥辱』の歌アル。わが家ではみんなで
これを唱和して道徳心の向上に努めているアル」
「道徳心の向上?チューゴ家が?」
ニホンちゃんは思わず吹き出しそうになりました。
「ま、それが可能ならぜひそう願いたいものね」
そんな皮肉をつぶやいたニホンちゃんでしたが、チューゴ君の言うことを聞いて、気になりはじめたことが
ありました。
「しかしこの言葉どこかで聞いたような……。うーん、思い出せない」
思い出しかかっているのに思い出せないのは何とももどかしいものです。ニホンちゃんはもやもやした
気分で家に帰りました。
ニホンちゃんが家に着くと、いきなりママの言葉が飛んできました。
「さくら、今から物置の整理をするの。手伝ってちょうだい」
日ノ本家は歴史の古い家で、しかもやたらに物持ちが良いので物置の中はいつも物が一杯なのです。
物置に入ったニホンちゃんは、以前お部屋の壁に貼られていた古い貼紙の束を見つけました。
「まったくもう。こんなものまでとっておくから物が増えるのよ」
ニホンちゃんは、ぶつぶつ言いながら何気なく貼紙の束をめくってみました。次の瞬間、ニホンちゃんは
思わず大きな声を出していました。
「ああ、これかあ!」
それにはこう大書されていたのです。
『5つの大切、10の反省』