08/05/15 17:18:07 hCns2PV9
『成長の限界―ローマクラブ「人類の危機」レポート』
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『成長の限界』はこれまでしばしば誤解されてきた。つまり、ここでいう限界は
資源枯渇による限界であり、技術によって新しい資源が見つかり代替エネル
ギーが開発されれば限界は超えられる可能性を無視しているという意見や、
不完全極まりないモデルは予測としては意味を成さない、といった意見である。
このような誤解は同書を手に取ればとたんに氷解するだろう。彼らの言う
「限界」というのは資源枯渇そのものを指しているのではなく、むしろ幾何級
数的な成長に伴う不可避な結末を指している。食糧不足とサービスの低迷、
そして環境汚染によって、システム全体において突如人口が激減していく
というシナリオこそが問題なのである。
彼らは、コンピューターによる計算によって、この世界モデルの動向を分析
する。すなわち、先の人口、工業、資源、一人当たりの食料、汚染、という値が、
2100までにどのような増減を見せるのかをテストした。
A:現在(60年代まで)の成長量にまったく手を加えず世界モデルをシュミ
レーションした結果。2010年~2020年を過ぎたあたりから再生不可能な
資源が底を突き始め工業生産が激減するとともに、増加する人口を賄う
ための食糧生産が間に合わず飢餓が訪れ、汚染と相まって2050年あたり
から人口が激減し始める・・・つまり破綻である。
B:科学技術によって、将来の埋蔵量は増加し、代替資源の開発が予想され
るため、資源を2倍にしてシュミレーションした結果。この場合、資源枯渇は
避けられる。ところが、無尽蔵な資源の乱用によって2020年~30年頃から
汚染が幾何級数的に拡大し、人口増加による食料不足と相まって(食糧
不足になると工業が農業に転移され工業は減少していく)、やはり2050年
ごろに急速な死亡率の増加を見ることになる。・・・つまり破綻である。