07/10/25 14:30:24 sPrRLCO8
元大使は云う、市民は豊かであり、反政府的ではない、デモは欧米帝国主義に買収された下層民と売国奴である、と。
しかし考えれば実に摩可不思議である。彼の台詞には、
①市民は豊かだ、他は知ったことではない
②市民は豊かだ、だが下層民がいる
③市民は反政府的でない、しかし欧米に心を売った下衆がいる
という矛盾を孕んでいる。
①には、「農村は知らん」という意味が隠れている。
豊かな近代国家の成立には、多くの労働者と政府関係者そして学者と軍人を養えるだけの、
農村の高い生産性が必要である。
都市は近代政府を支え、また農村の統制権を併呑、管轄下にすることで糧とする。
つまり、農村が豊かでなければ健全な近代国家は成立しえないのである。
国民と市民と単語を選び、堅実に発言した彼の真意はそこにある。
②は、そのまま矛盾である。
市民が豊かなら下層民は居ないか少ないからだ。
下層民・上層民は都市の市民のなかにだけありうる概念で、農村には成立しえない。
なぜなら、農民には職の有無や景気は関係なく、ただ植えて育てる以外にないからだ。
出来不出来はあるが、それによって資産が減じることはない、身一つの労働者と違い、
土地があり、来年もまた耕せるからである。
市民に貴賤があれば、それは十二分な労働環境がないからである。
政府は"市民"から税を取り立てる以上、労働環境の整備の義務がある。
それは国家生存の真理による義務であり、他の何物によっても減免されることはない。
軍事政権の不備は間違いない。
③はそれこそ、お題目の証明である。
反政府的でないなら売国奴は居ないはずである。
貧しいから買収されたなら、"下層民の売国奴"というべきで分けていう意味はない。
つまり、売国奴だの欧帝だのはお題目であり、政府としては認めたくない事実、ということだ。
確実に国民は離反しているのである。
これだけ類推できればビルマの事実が透いて見えるだろう。