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【コラム】米国に差し出した外為特会100兆円~金融立国と軍事力の関係を解く~ [1/10]
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貯めたカネが使えないのなら、ないも同然だ。貸したカネが返ってこないのなら、差し出したに
等しい。個人も国家も同じである。
昨年の11月中、日本経済新聞に野村証券元会長の田淵節也氏の「私の履歴書」が掲載された。
その最終回は今後の世界経済の動きをいくつも示唆して興味深いのだが、「軍事力も持たずに
金融立国の幻想を抱いている人」という気になる一節が出てくる。つまり田淵氏は、軍事力を
持たない日本が金融立国など果たせるはずがない、と言っているわけだ。一体それは、
どういうことなのだろう。
実は、軍事力の裏打ちのない金融立国は幻想に過ぎないというのは古典的テーゼである。
例えば、金融立国を債権国に言い換えてみると、理解しやすいだろう。ある国が他国に融資
あるいは投資を行い、対外資産を積み上げ、運用する。この両国関係が、何らかの理由で極度に
緊張したとする。主権国同士が対立し、外交手段で解きえないとき、資産の回収圧力あるいは
最終的な実践手段は軍事力しかないという考え方である。
では、この古典的テーゼは19世紀的遺物だろうか。
違う。
(中略)
米国の核の傘に守られ、国内に数多くの米軍基地を抱える日本に、米国債を自由自在に
売買する権限は、安全保障上ありえない。(後略)