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「選択への風景―09年衆院選」（中） 医師不足に募る不安
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松江市の沖約80キロの日本海に浮かぶ島根県・隠岐諸島。約2万3千人が住むこの島々に常勤の産科医は1人しかいない。
2006年には同県出雲市の医療機関が医師不足を理由に産科医の派遣を打ち切り、約4カ月間、不在の時期もあった。
今も危機的状況には変わりなく、島民の不安は募るばかりだ。
▽都市に集中
「医者を減らすのはやめ、地方医療を充実する。麻生政権はそういう大転換を始め、困難の中で対応している」。
隠岐を含む島根1区から出馬する自民党の細田博之幹事長は7月18日、松江市での演説で力を込めた。厚生労働省も対策の検討を進めている。
しかし、過疎地域が多い島根県では医師不足で診療体制を縮小する医療機関が相次ぐ。発言には医療政策への不満を和らげる狙いがあったが、
島根県医師会幹部は「医療政策はことごとく裏目に出た。今回は一枚岩で自民党支持とはいかない」と、冷ややかだ。
対する民主党。新人候補の小室寿明氏は「コスト論で医療、福祉を切り捨てる、間違った構造改革は許さない」と批判のトーンを強める。
だが民主党にも注文が付く。医学部生1.5倍増と数値目標を掲げるが、常勤産科医が1人の隠岐病院の武田博士院長（71）は
「医師を増やすだけでは駄目だ。都市に医師が集中しているアンバランスを是正する政策を打ち出せるか。どの党が勝つにせよ、
選挙後の政権にはそれを求めたい」と語る。
1区からは共産党の石飛育久、諸派の池田健一郎両氏も出馬する。