09/07/09 23:55:20 8VZ1U4TR0
>>95 つづき
【結果】
対象143例中2歳未満が77例と半数以上を占めた。RSV診断後1ヶ月以内の中耳炎の
合併は78例(54%)で認められ、低年齢の群で有意に発症率が高かった(2歳未満73%、
2歳以上33%)。中耳貯留旅中のRSV抗原は36例で確認したところ、26例(72%)で迅速診断陽性であった。
細菌培養は上咽頭で施行68例中63例(93%)で菌陽性であったのに対し、
中耳貯留旅では施行56例中17例(30%)であった。
中耳貯留旅中の細菌の内訳は肺炎球菌5例、インフルエンザ菌3例、モラキセラカタラリス5例、
その他(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、a溶道菌等)8例であった(重複あり)。
中耳炎の診断から治癒までの期間は2週間以内が79%と大半であったが、
治癒1ヶ月以内の反復が21%で認められた。
【考察】
RSV感染症は2歳未満の乳幼児、特に初感染例で重症化することが知られ
ているが中耳炎の合併という面でも合併率が73%と極めて高く、低年齢がリスクファクターと
なることが確認された。またRSVによる呼吸器症状が改善してからの中耳炎発症例も多く、初
回受診時に中耳炎を認めない症例でも一定期間の経過観察が必要と考えられた。RSV感染症に
合併する中耳炎は初期にはウイルス感染によると思われる例が多く、鼓膜所見は比較的軽度で
必ずしも難治でないが、細菌感染を伴うことで重症化した症例を多く認めた。さらにRSV感染
に伴う中耳炎を契機として中耳炎を反復する症例も認められた。以上の結果よりRSVと急性中
耳炎の間に強い関連があると考えられた。
※この研究は西村秀一一(国立仙台病院ウイルスセンター)、遠藤廣子(東北労災病院小児科)の
協力で行われた。