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紙面の見出しは「問われる医師の義務 体制不十分 周知の事実」
医療クライシス:妊婦死亡が問うもの/上 少なすぎる医師数
◇開業医と連携なく
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昨年11月21日夜。東京都立墨東病院(墨田区)5階の大会議室に病院と都、地元開業医の代表計18人が集まった。産科救急の
「最後のとりで」である総合周産期母子医療センターに指定されている同病院産科の常勤医が、定員(9人)の半数以下の
4人となったことへの対応を話し合う初めての会合だった。
病院は「(開業医は)患者を救急搬送したら、墨東に入って手伝ってほしい」と提案した。開業医たちは「なぜ医師を補充しないのか」
「公立病院の責務はどうなったのか」と反発し、議論は2時間半に及んだが、具体策は決まらなかった。
今年7月には非常勤医がさらに1人減り、土日の救急搬送に対応できなくなった。悲劇が起きたのは、その3カ月後の10月4日。
脳出血を起こした妊婦(36)が同病院を皮切りに8病院に受け入れを断られ、3日後に亡くなった。江戸川区産婦人科医会の鈴木国興会長は
「いつか起きると覚悟していた」と話す。
都内の産科医は約1400人で、出生数に対する医師数は全国平均の1.4倍。全国75の総合周産期母子医療センターのうち9施設が都内にある。
それでも十分な体制でないことは、関係者の間では周知の事実だった。今年9月にも同様の妊婦が同センターの杏林大病院(三鷹市)などに
受け入れを断られた末に重体となり、深刻さが浮き彫りになった。
06年11月にも、荒川区の開業医が切迫早産の妊婦の搬送先を探したが、墨東病院を含む十数カ所に断られ、川崎市内の病院で死産した。
都福祉保健局長が都議会で「事実を検証する」と答弁したが、その後の都周産期医療協議会では取り上げられず、今年3月にまとまった
協議会報告書でも触れていない。十分な対策が打たれないまま、悲劇は繰り返されたのだった。