08/11/26 13:03:03 UbKwmdIh0
>>330続き
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センターは24時間態勢で経過観察が必要な母子を診る。産婦人科医11人と小児科医13人で当直を担い、産婦人科の場合は
休日や夜間も2人以上が勤務するため、月に最低6回は当直勤務がつく。ベテランの橋口さんは当直の代わりに緊急呼び出しに応じる
「オンコール」が月7回あり、週に1、2度は協力病院の当直に出向く。
勤務の主体はあくまでも杏林大だ。しかし、東京からの当直応援がなければ周産期医療そのものが崩壊してしまう地域がある。
橋口さんはこの日、夕方まで杏林大で勤務した後、中核病院が相次いで分娩を中止した神奈川県内の協力病院で当直を務め、
そのまま翌日の夕方過ぎまで勤務した。協力病院の当直が月に10~15回にのぼる若手の場合、埼玉県や群馬県まで出かける医局員もいる。
連続勤務時間が30時間を超えることはざらで、休みも月に1、2日だ。
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杏林大病院のある多摩地域や、都立墨東病院(墨田区)などで受け入れを断られた妊婦が死亡する問題が起きた東部地区は、
もともと産科医やNICUといった「医療資源」が絶対的に足りない。両地域は他の区部より若い世帯の転入が多いのに、
出生千人当たりの産科医数は全国平均以下の状態だ=図参照。
URLリンク(mytown.asahi.com)
施設にかかる負担は当然、重くなる。杏林大では昨年、前年より97件も多い921件のお産を扱い、今年もすでに04、05年の
年間出産数を超える800件を扱った。うち6割強は高度な治療や手術が必要な難しいケースだ。晩婚化や不妊治療の発達で、
高齢出産や多胎妊娠などリスクが高い出産が増えている。
一方で、リスクが低くてもセンターで扱わざるを得ないケースも増えている。「以前なら開業医や地域の中核病院が
引き受けてくれた患者が、早期に転送されてくる。受け入れ施設がない以上、制限できない」と岩下教授は話す。
「最後の砦」が、いつのまにか最前線になっていた。総合周産期母子医療センターを備えた墨東病院で、
2年前から産科医の退職が相次ぎ、慢性的な要員不足が続いているのも最前線化による過重が背景にある。