08/12/14 18:33:42 PHgZfGR00
>>436続き
それだけではない。
年々すさまじい勢いで専門化、高度化する医学・医療は、現場により多くの専門医を必要とさせている。
「それまで3人の医師がいれば事足りたのが、倍の6人いなければ保てなくなった。技術の高度化は、現場の人員増を求める結果になった」
中堅勤務医がこう語るように、現状は相対的な「医師不足」を激化させているようなのだ。
また、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の普及など、従来よりも丁寧な医療が求められることで、医師が
個々の患者に割かなくてはいけない時間も増えた。個々の医師がより忙しくなり、それだけでも相対的な医師不足感を加速させているのだ。
さらに、もうひとつ。
日本の医療システムを根本から崩壊させるような“外力”が加わり、混乱が加速した。
厚労省が主導し平成16年4月から実施された「新臨床研修制度」である。
混乱の原因は「新研修制度」
日本では医師を育て、一人前にして現場に送り出す機能を担ってきたのは大学医学部だった。
医学部は専門ごとに「医局」を構成し、教授をピラミッドとした体制を形成してきた。この「医局」が地元の国公立病院に医師を派遣し、
地域医療を機能させてきたのである。
大学医学部に入学した医学生は6年間の教育を終えて医師免許を取得すると、専門を決め、その大学の医局に所属して、
付属病院で実地訓練を受けた。これが旧来の臨床研修制度である。
新制度はこれを一変させた。
まず、研修病院を出身大学だけでなく、全国の民間病院も含めた全病院に拡大させた。新人が希望する研修病院と、病院側が
受け入れを希望する新人を突き合わせ(マッチング・システム)、全国規模で新人が研修したい病院を選択できるようにした。
もうひとつ、旧制度は新人にすぐに専門を決めさせたが、新制度では一定期間にわたって専門を決めさせず、全診療科を経験させるようにした。
旧来の医師が専門性が高すぎ、「専門以外の病気はまったく分からない」という状態が医療事故の原因になっていたことを踏まえた措置で、
一通りの初期診療(プライマリー・ケア)ができる医師を育てようというのが厚労省の狙いだった。