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医療格差 設備も不足 日々綱渡り /長崎
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墨のような雲が低く垂れ込め始めていた。
台風13号が九州に接近した9月18日。長崎県平戸市の生月島(いきつきじま)にある生月病院で、院長の山下雅巳(53)は
4年前の出来事を思い起こしていた。
あの日、島は大型台風の直撃を受けた。風雨が強まる中、産気づいた妊婦が運び込まれた。島で唯一の病院だが、産科はない。
救急車を呼んだものの出動を断られた。本土と島をつなぐ橋が通行止めだったからだ。
「責任は私がとりますから」。山下は、役場に頼み込んで当時町長の公用車を借り、重しの砂袋を積み込んだ。
妊婦の付き添いは一番体の重い男性医師。元相撲取りの職員がハンドルを握り、揺れる橋を強行突破した。
車が本土の病院に着いたのは1時間半後。直後に男児が生まれた。
今、生月病院の常勤医師は定員の2欠の5人で、うち1人は病欠中だ。「毎日が綱渡りですよ」と山下は空を見上げた。
(後略)