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山口 「いきいき集落」 ／山口
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東国原英夫宮崎県知事が「いきいき集落」という新呼称を発表しました。「限界集落」という学術用語に反発する
地域の声を受けて、全国公募し選んだものです。なんだか後期高齢者医療制度を長寿医療制度と言い換えたのに似ていますね。
限界集落の名付け親は大野晃高知大名誉教授。６５歳以上の高齢者が人口の半数を超え、生活道路の管理、冠婚葬祭などの
共同体生活が困難になった集落です。林業の衰退を調べて「過疎」をはるかに越えているということで生まれた用語です。
私の母の実家もまさに限界集落です。鹿児島県の九州電力川内原発の近くで、戦後山林を切り開いてミカンで生きた十数戸。
７人の子供のうち５人は都会へ。２人は県内でしたが、引き継ぐ者はいませんでした。山林は荒れ果て、集落前にあった美田は
一面ガマが生え沼と化しました。今や数戸で、消滅寸前です。
山口県も過疎と高齢化の進む中山間地域が面積の７３％をも占めます。県は１９戸以下、高齢化率が半分以上の限界集落を
「小規模・高齢化集落」と呼び換えます。０６年で全集落の１２・８％、４２４集落。うち９戸以下、高齢化率７０％以上は９０集落。
その再生策として、県は小学校区単位で自治機能を作り直す「手作り自治区」の支援に取り組んでいます。宮崎県の
「いきいき集落」も、新呼称にふさわしい自主的な取り組みをしている地域を認定し、支援をするのだそうですから、目的は同じなのでしょう。
共に、地域住民の取り組みが前提です。が、それが困難だというのが「限界」の意味です。立ち上がっても、特定の人の負担が重くなり、
事業が立ち消えになるケースも多いのだそうです。時代とともに人の住む場所も変化していくのでしょうが、取り残された人々を
そのままにしておいていいはずもありません。もっと根本的な対策が必要なのでしょうけど……。＜山口・勝野昭龍＞