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>>323続き
民事訴訟リスクの高さと過酷な労働が、産科医減少と施設閉鎖をもたらしている。厚生労働省によると、産科医1000人あたりの医療訴訟件数
(06年の終結分)は16.8件で診療科別で最も多い。過酷さを象徴するのは分娩を扱う常勤医が1人しかいない「1人医長」の存在だ。
全国の病院の約15%を占め、K医師も1人医長だった。休みがなく訴訟も多い現実が医師の産科離れを起こし大野病院事件で加速した。
木村正・大阪大教授(産婦人科)は「欧米では病院の集約化が進む。日本のように少人数で対応するのは世界の常識から外れている」と指摘する。
また、若い産科医は他科に比べ、女性の割合が高く、20代では約7割を占める。しかし自分の出産などを機に仕事から離れることが多く、
日本産科婦人科学会によると、産科医歴2~16年目の分娩実施率は男性83%に対し女性66%。女性は11年目で46%に落ち込む。
同学会は昨年9月、医療事故で医師の過失を免責しつつ真相究明を行う制度整備などを厚労相に要望した。学会の桑江千鶴子・
都立府中病院部長は「医師が安心して働く環境を用意することが良質な医療を提供する」と訴える。【河内敏康、奥野敦史】
◇再発防止へ綿密な検証を--加藤良夫・南山大法科大学院教授(医事法)の話
医療事故で刑事責任が問われることに医療界に不安や反発の声があり、その中で冷静で率直な同僚間の評価(ピアレビュー)は期待しにくい。
しかし、再発防止のための教訓はあるはずで、司法手続きが確定した後、しっかり検証作業をしてみるべきではないか。また、
無罪判決が出たからといって産科医療の未来が明るくなったわけではない。国は産科医等が安全で質の高い医療を提供できる環境を早急に整備すべきだ。
◇第三者機関が専門的調査を--岡井崇・昭和大教授、日本産科婦人科学会常務理事の話
非常に悲しい事件で、遺族の思いは察するに余りある。しかし実地の医療の難しさを理解できない警察、検察がこの問題を調べたことは問題だった。
亡くならずに済む方法はなかったのかという遺族の疑問は、専門家中心の第三者機関でなければ晴らすことはできない。
ネット上では一部の医師が遺族の方を中傷する心ない発言をした。誤った行為であり、学会を含め多くの医師の見解ではない。