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【視点】無制限に医師の裁量を認めるものではない 大野病院事件(産経新聞)
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手術中に医師が最良と判断した手法で患者が死亡した場合、医師個人は刑事責任を問われるべきか-。
福島県立大野病院事件で、福島地裁は、臨床の場で通常行われる水準で医療措置をしていた場合、罪は
問えないとの判断を示した。
判決は、医療行為を「身体に対する侵襲を伴うものである以上、患者の生命や身体に対する危険性がある
ことは自明」と表現。結果責任だけが問われる医療関係者から上がる「リスクの高い医療はできない」などの
切実な叫びをくみ取った結果が、今回の無罪判決といえる。
だが、判決は、加藤医師の医療行為と女性死亡の因果関係を認めた。大量失血も予見できたとしたうえで、
検察側が指摘した通り、癒着胎盤の剥離を中止して子宮を摘出していれば、最悪の結果を回避できた可能
性を指摘した。
公判で弁護側の証人に立った産婦人科の権威らが「一切過失はない」と言い切る姿は、国民に「医者の
かばい合い」と映ったに違いない。
今回の事件を契機に、医療事故調査専門の第三者機関、いわゆる医療版事故調を設置しようという機運が
高まっている。だが、医療界がこぞってすべての医療ミスで刑事責任の免責を主張するなら、事故調が事故原因
究明や公正な判断を下せなくなるのでは、と懐疑的な見方が出てきても仕方あるまい。
今回の判決は「適切な手術」という前提付きで、医師の裁量を認めた。医療界は、なおいっそうの注意義務と
医療を受ける患者、家族が十分納得するような説明責任が求められていることを忘れてはならない。(小野田雄一)