08/05/14 20:44:34 c8c9gVTT0
第2幕から12年後。フランス革命が起こって9カ月。
第3幕ではサド侯爵が自由の身となる日がいよいよやって来る。
ところが、ルネは態度を豹変させ、世を捨てて修道院に入ると言い出す。
サド侯爵が獄中で書いた物語によって彼の内面の奥底を知ったからだった。
「ここへ今アルフォンスがかえって来ても?
18年のあいだお前が待ちこがれた自由の身になってかえって来ても?」と母は詰め寄る。
決心の変わらないルネは独白に向かう。
「アルフォンス。私がこの世で逢った一番ふしぎな人。
悪の中から光りを紡(つむ)ぎ出し、汚濁を集めて神聖さを作り出し、
あの人はもう一度、由緒正しい侯爵家の甲冑(かちゅう)を身につけて、
敬虔(けいけん)な騎士になりました。
……籠手(こて)を外してあらわれた女のような白い美しい手が、人々の頭(こうべ)に触れると、
もっとも蔑(さげす)まれ、もっとも見捨てられた人も勇気を取り戻(もど)し、
あの人のあとに従って、暁のほのめく戦場へと勇み立つ。
あの人は飛ぶのです。天翔(あまが)けるのです。銀(しろがね)の鎧の胸に、血みどろの殺戮(さつりく)のあと、
この世でもっとも静かな百万の屍(しかばね)の宴(うたげ)のさまをありありと宿して……」
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ぷし公の奥さんの独白に見えない?