08/03/09 16:14:05 xB9KC9go0
昔昔の事じゃった。それはたいそう寒い冬の夜に、一人の少年がパトラッシュを売っておったそうじゃ。
少年の父はそりゃ厳しくて、全部パトラッシュが売れるまでは家にも入れてくれん、メシも食わせてくれんのじゃぁ。
寒~い町で一人パトラッシュを売り続けていた少年じゃったが、遂に寒さを堪え切れんようになってしもて、
売り物のパトラッシュで少しだけ暖を取る事にした。
パトラッシュをしゅぽっと摺ってみたらば、あったかいストーブがまず見えたぁ。だが幻じゃったぁ。
パトラッシュの火が消えると、あとは元通りの寒空じゃった。
仕方が無いので少年は、もう一匹パトラッシュを燃してみたんじゃぁ。するとそこには、旨そうな七面鳥がのう。
じゃがやっぱり幻じゃった。もう一匹摺ると、クリスマスツリーが見えたそうじゃが、
少年はもう諦めたてふと空を見上げてみた。
すると空には一筋の流れ星が見えた。まだおばあちゃんが元気じゃった頃、おばあちゃんが言っておった事を思い出したんじゃ。
流れ星は誰かが天国に行くときにす~っと光んじゃよとのう。
パトラッシュを燃やしたらさっきのストーブや七面鳥の様に、おばあちゃんに会えるかも知れない、少年はそう思ったんじゃな。
もう一匹だけパトラッシュを燃やしてみたんじゃ。するとやっぱりそこには懐かしいおばあちゃんの姿がほれ、来てくれたんじゃ。
でもこのままじゃ、七面鳥やクリスマスツリーと同じでおばあちゃんが消えちまう、そう思うと少年は泣きそうになったんじゃ。
持ってたパトラッシュを全部一片に燃すと、光の中からおばあちゃんが出てきて、少年を抱きしめてくれたんじゃと。
次の日に町の人が見たもんは、燃えた残ったパトラッシュを抱えて嬉しそうにほほえんでいる少年のなきがらじゃったそうな。
おしまい