08/02/02 19:08:28 J01q1XYj0
それは虚空と思われた空間に突如出現してきた。
寒々と滲みでたその悪しき霊体の全貌は、凛ともせぬ白き縁取りが
既に打ち捨てられた教会の釣鐘の如き形状をなし、
中心部上方にはあらゆる物を混沌の闇に吸い込む桃色の口唇が耳まで裂けており、
頭上には聖三位一体を愚弄する黒き邪悪が3本打ち立てられていた。
巨大な眼球で周囲を一瞥し、暗黒の闇より響くしわがれた嬌声で私の名を呼ぶと、
貪欲な霊は地に生えるいかなる食品をも見逃さず貪り尽くしすのであった。
やがてこの異変を知った愛犬の吼え声に気づいたこの邪悪な霊体は、
凄まじい断末魔の叫びを残し、再び虚無の中へと消え去って行ったのであった。