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妊婦搬送中流産:「また」揺らぐ搬送体制への信頼 救急車行き先なく /奈良
◇「行政は何をしていたのか」 出産控えた女性、不安の声
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妊娠3カ月だった橿原市の女性(38)が橿原消防署(中和広域消防組合)の救急車で救急搬送中、大阪府高槻市内で
交通事故に巻き込まれ、流産した問題で、出産を控えた女性らからは「ショックだ」「行政は何をしていたのか」と
不安や批判の声が上がった。大淀町立大淀病院で昨年8月、五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩中に意識不明となり、
転送先探しが難航した末に死亡した問題が起きたばかり。県内の救急搬送システムへの信頼が揺らいでいる。【高瀬浩平】
来年1月に出産予定の五條市内の30代女性は「あんなに遠くに運ばれるのかと思うとショックだ。長い間車に揺られるのは
赤ちゃんにとって良くない。なぜ県立医大付属病院が受け入れなかったのか。手術が終わってからでも処置すればよかったのに」と話した。
今年11月に出産予定の五條市内の20代女性は「自分にも同じようなことが起きたらと思うと不安。急な破水や出血など
異常があったら、十分に対応してくれるだろうか。今後も起こらないとは限らない」と話した。
高崎実香さんの夫晋輔さん(25)と義父憲治さん(53)が奈良市の奈良女子大で講演した際、体験談を聞いた同大学の学生は
「ニュースを見て、またかと思った。県内にも大きな病院が複数あるのに、なぜ搬送できなかったのだろうか」と疑問を投げかけた。
市民の立場で医療の安全を求める活動を続け、生駒市新病院整備専門委員会の委員を務める高校教諭、勝村久司さんは
「県内では10年以上前から、救急車はすぐに来ても、行き先がないということが指摘されていた。産科や小児科は
市民が必要としている救急医療で、行政が責任を持ってやらないといけない。県立医大付属病院が受け入れなかったの
は非常に大きな問題だ」と憤った。