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産科医、施設全国で減少 30病院で断られた例も
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妊婦が“たらい回し”にされるのは、関西地方だけの問題ではない。国立成育医療センター(東京都世田谷区)の久保隆彦・産科医長は
「首都圏でも妊婦の受け入れは難しくなっており、たとえば、神奈川県から千葉県や静岡県などへ搬送されるのは日常茶飯事。
9病院から断られたと聞いても、特に驚かない」と話す。久保医長によると、神奈川県で今年、妊娠中期に破水した妊婦が約30病院に
受け入れを断られた例もあったという。こうした事態の背景に、産科医の不足と、お産を扱う医療機関の減少がある。
全国の産婦人科医は、2004年に1万594人と、10年間で7%減少。日本産科婦人科学会によると、出産を扱う医療機関は1993年に4286施設あったが、
2005年に3056施設に激減した。都市部では、地域の中核病院や診療所の産科が閉じ、大病院にお産が集中。産科のベッドはいつも満床で、
緊急に対処が必要な妊産婦の診療要請があっても、受け入れる余裕がない状態が慢性化している。全国の総合周産期母子医療センターへの調査では、母体の救急搬送を受け入れた率は、
2005年に全国平均で67%だったが、東京と大阪の都市部では44%と極端に低かった。調査した全国周産期医療連絡協議会は「救急搬送体制は都道府県単位だが、現実には県境をまたいだ搬送が日常的になっており、それを円滑に実施するシステムが必要」
と指摘する。地方では産科医不足は一層深刻で、産科医がいない空白地帯もある。北海道根室市では昨年9月から常勤の産科医が不在で、妊婦は緊急時や出産の際は約120キロ離れた釧路市の病院に行く。
一刻も早く抜本対策を
「このままではまた同じことが起こってしまう」。昨年8月、奈良県の妊婦が“たらい回し”にされた問題を取材した際、ある産科医はそうつぶやいた。医師や病床の不足……。
行政側は「医師を派遣する大学医局の問題などもあり、簡単には対応できない」というが、一刻も早く抜本的な対策を取らなければ、悲劇は再び繰り返されてしまう。
昨年8月からの1年間は何のためにあったのだろうか。(茨木)
(2007年8月30日 読売新聞)