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夫は女性を車の後部座席に乗せ、再び病院に急いだ。三十キロあまり離れた
別海町との境界に差し掛かるころ、女性が「もう出そう」と叫んだ。運転席の
ミラーに、赤ちゃんの頭が見え始めていた。夫は携帯電話で病院に連絡。助産師
から「力まないで」と指示されたが無理だった。日が落ちて暗くなった車中に、
女の子の産声が響いた。
保育器で回復
二人が喜びに浸る暇はなかった。へその緒がつながった状態では抱くことも出来ず、
女性は赤ちゃんが座席から落ちないように足で支え、夫は車を飛ばした。病院の
救急車と落ち合ったのは、病院の約三キロ手前。赤ちゃんの体温は三四度台に
なっていた。病院で保育器に入った赤ちゃんは幸い、すぐ体力を回復。母親も
無事だった。
別海病院は「スタッフから当時の状況下で適切に対処したと聞いている。ただ
車中での出産は少なくとも近年は聞いたことがない」(事務局)と話している。
今回の件で夫は「もっと早く病院に行けばよかった」と悔やむが、出産まで
の状況には個人差があり、判断は難しい。また、異常分娩でなければ救急搬送
されない。
根室市に産婦人科医を求める会の内山利子代表は「出産をめぐる環境格差は
ひどい。命にかかわる問題に、国は早く対処して欲しい」と話す。