僻地医療の自爆燃料を語る51at HOSP
僻地医療の自爆燃料を語る51 - 暇つぶし2ch165:160
07/02/17 09:41:19 lbOzc+Q40
続き
二千五百ccの大量出血により、母体も危険な状態となり、主婦をドクターヘリで
札医大へ空路搬送された。幸い子宮の摘出は免れたが、容体が安定したのは翌日の
朝だった。航路、陸路、空路を経てたどり着いた札幌。天売島を出てから
六時間以上たっていた。
 「初めての男の子の孫。名前も決めていたんだ」。主婦の義父(四六)は、
天売島の自宅で悔しそうに口を開いた。義母も「診察も手術も出来ないのであれば
、意味がない」と地域医療体制の不備に憤る。夫(二四)は「安心して子供を
うむこともできないなんて」と肩を落とした。
 「批判は承知しているが、あれが限界だった」。羽幌病院の国田松博事務長は
苦渋の表情で振り返った。相次ぐ医師の引き揚げで、欠員状態が続く羽幌病院。
九つの診療科のうち、眼科など四つの診療科は常勤医がいない。昨秋には通常
出産も中止に追い込まれた。
 羽幌病院は、現在も留萌管内北部の広域医療を担うセンター病院と位置づけ
られている。その病院が地域住民の要望に応えられない。こうした事態に、
「集約化なども検討しているが、絶対的な医師不足で抜本的な解決には
程遠い」と無力だ。
 「子供は欲しい。今度は早めに留萌に移りたい」。主婦は、子供のために
用意した産着を手に言った。医師不足でやせ細る地域医療。「住む場所で命の
重さも違うのだろうか」。主婦の件を受け、医療体制の改善を訴える、天売島
在住の羽幌町議、寺沢孝毅さん(四七)は鉛色の海を見ながらつぶやいた。



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