07/05/02 14:52:46 cJVWLKzS0
「法令遵守」が日本を滅ぼす 郷原信郎 著
URLリンク(www.shinchosha.co.jp)
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
コスト・パフォーマンスのよい「善玉」「悪玉」報道
当局の「違法か合法か」の判断に追従することは、取材のコスト・パフォーマンスという面でも多大なメリットをもたらします。
事件報道において、できるだけ短時間の取材で、分かりやすく、多くの人に読んだり視聴したりしてもらえる記事を作るためには、
「善玉」「悪玉」をはっきりさせるのが効率的です。
違法か合法か、つまり善玉か悪玉かについての当局の判断を、読者や視聴者がそのまま受け入れてくれるのが、最も合理的なのです。
それゆえ、善悪の評価が難しいようなややこしい話は、新聞、テレビでは敬遠されがちです。このことが、
複雑な背景で起きている事件を単純化し、「法令を遵守しなかったから悪い」「法令遵守さえ徹底すればよい」ということで
片付けてしまう傾向を助長しています。
この報道姿勢は、自身のリスクを軽減するという意味でも賢いやり方です。事件報道は、個人や企業の社会的信用を失墜させますから、
報道内容への抗議や、場合によっては名誉毀損で訴えられるリスクを伴います。また、大企業は有力な広告主だったりしますから、
企業側から反感を買えば広告収入を失うリスクもあります。