10/04/19 02:53:19 w1RvO/mf0
苦労の末、リリザの町で見つけたサマルトリアの王子。
俺は世界滅亡の危機の時にふざけやがって…と少しイラついたんだが、
これから共にハーゴンを倒す仲間だと思いぐっと堪えたのさ。
俺はローレシアという国で王子をやっており、魔法なんて不抜けたものは使わねぇ。
腕っぷしだけが自慢の短髪にがっしりした、厳つい顔であった。
そんなある時、洞窟深くへ銀の鍵を取りに行き危うく死にかけた。
バブルスライムの毒を受け、魔術師のギラを受けながらも命からがら逃げ切った。
その時のサマルトリアの王子を忘れられない。
「ホイミしか使えなくてゴメンな、戦力にならなくてゴメンな…」
涙をポロポロ流しながら、必死に俺の怪我を治す。
毒消し草が無ければ治らないのもわかっていながら患部から必死に毒を抜こうと血を吸っては吐く。
もういいよと何度も言ったが、
「非力な僕じゃダメなんだ。ハーゴンを倒せるのはお前だけなんだ。僕はお前に力じゃ勝てないけど、
100の内の1だけでも、ほんの少しだけでも、僕も力になりたいんだ。」
そう言って何度MPがたりないと表示されても、俺には決して唱えられないホイミを泣きながら連呼するんだ。
そんなサマルトリアの心の本当の強さを感じた時、この男を使えない奴と思っていた俺こそが、
本当に惨めな男だったのだと涙がこぼれた。
ああ、こいつも世界を思う気持ちは本物なんだ。
こいつは間違いなく、いなくてはならない俺の仲間なんだ。
パワーだけしか知らなかった俺はそんなサマルトリアの姿を見て、
素直に口からありがとうという言葉が出て、頭を下げた。