08/10/26 22:51:26 A40z9+b20
そうか。怒るのも無理はないな。そう、まだお礼を言ってなかった」
黒いゆっくりは、ゆっくりと、黒く、言った。
「“ごちそうさま”」
視界が真っ赤に染まった。意味の為さない咆吼を吐き出し、男はゆっくりへ飛びかかった。
轟然と響き渡る破壊音。窓ガラスが割れ、窓枠は折れて、辺りに飛び散った。
そして、咀嚼音。飲み込んだその口から、言葉が発せられる。
「三つ、正当防衛。以上が、今回の殺人の大義名分だ」
男は見失った標的が後ろにいることを、ようやく悟った。首を押さえながら振り向く。手の下で、今黒ゆっくりが食べたものが欠損していた。頸動脈を含めた首の肉だった。
「ただのゆっくりでないことは理解できただろうに。どの程度の能力か確認もせずに向かってくるのは、何とも愚かだな。まあ、冷静さを失うように振る舞いはしたが」
湧き出す泉のように、男の手から赤い血潮が漏れていた。止めどなく抜けていく命の本流は、顔色を青ざめさせると共に意識を暗くさせていった。
「な、何なん、だよ、おまえ」
床に倒れ込む直前の、男の最期の言葉に、黒ゆっくりは、
「それは俺も知りたい」
素っ気なく答えた。
鉄さびの臭いが充満する暗