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群衆の中からも、歔欷の声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、
まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「では予定通り、セリヌンティウスを解放し、メロスを処刑する。」
メロスは激怒した。
どっと群衆の間に、笑い声が起った。
「万歳、王様万歳。」
ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げた。メロスは、相変わらず憤慨していた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、今日は、4月1日じゃないか。早く怒りを沈めるがいい。この可愛い娘さんは、
メロスの痴態を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面した。