06/04/27 13:46:58 1zoEz/6j0
エンキドゥは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐のギルガメシュを除かなければならぬと決意した。
エンキドゥには政治がわからぬ。エンキドゥは、アルルのつくりし者である。
罠をたたき壊し、野獣と遊んで暮して來た。けれども女の股ぐらに対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明エンキドゥは山を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のウルクの市にやって来た。
エンキドゥには父も、母も無い。女房も無い。ゆきずりの、内気な巫女と二人暮しだ。
この巫女は、山の或る強大な野人を、先日、婿として迎えいれていた。結婚式も間近かなのである。
エンキドゥは、それとは別件、巫女にひとつそそのかされ、はるばる市にやって来たのだ。
先ず、人の衣類を初めて身に纏い、それから都の大路をぶらぶら歩いた。