06/03/14 15:19:23 vHxRdCGM0
走れメロスのもとネタとなった実話
太宰は熱海温泉に長期逗留して仕事場のようにしていて、金銭感覚がまるでなく、
しょっちゅう金欠に陥っていたようです。そんなある時、みかねた内妻の初代が、
東京の壇一男に金を持っていってくれるように頼みました。
壇が熱海に行くと、例によって太宰は壇を誘って豪遊し、持参の金をすぐに使い果
たしてしまったので、壇を旅館に残して人質にし、自分は「菊池寛のところに行って
金を借りてくる」と東京に出かけてしまった。ところが待てど暮らせと太宰は戻って
こないので、たまりかねた壇に料理屋の主人が見張り役について太宰を捜しに東京に
行った。
さんざん探したあげく、なんと井伏鱒二の家で将棋をさしている太宰を発見した。見つ
けられた太宰は狼狽したが、「待つ身がつらいかね、待たせる身がつらいかね」と言った
という。結局このときの借金三百円は、一部を佐藤春夫と井伏鱒二が立て替え、残りは初代
が着物を質入れして支払った。