04/04/12 21:22 0gq7dxI7
>>88
彼―ちょっと暴君な彼はディオニスといった。
人を信じられないらしく、城に入るなり僕は
巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛されてしまった。
「よかったのか、ホイホイ無二の友人を人質にして。
俺は罪のない人だってかまわないで
殺っちまう人間なんだぜ」
「こんなこと初めてだけど、市を暴君の手から救うためだから
いいんです・・・僕・・・人の心を疑うのは、最も恥ずべき
悪徳だと思いますから・・・」
「清らかな事言ってくれるじゃないの。
それじゃあ、ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は
とことんゆるしてやるからな」
老爺(ろうや)の言葉どおり、彼はすさまじい邪知暴虐の王だった。
僕はというと全身に与えられる口惜しさの波に
地団駄(じだんだ)踏んでものも言いたくなくなった。
しかし王の下へ向かう時、予期せぬでき事が・・・
「ああ、メロス様。」
「ん?もう日没か?以外に早いんだな」
「ち、ちがう・・・実はもう、駄目です。
もう、あの方(かた)をお助けになることは出来ません
ここまで来たのもそのためで・・・」
「そうか・・・」