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写真展：浅沼稲次郎が愛した昭和のアパート
右翼少年の凶刃に倒れた旧社会党委員長、浅沼稲次郎が住んだことでも有名な「同潤会清砂通アパー
ト」（東京都江東区白河３、鉄筋３階建て）に住んだ元会社員、内海三郎さん（８５）は、趣味のカメラを通し
て昭和３０年代のアパートを見続けた。「当時は偉いも偉くないもなく、みんな家族みたいに付き合った
もんだ」－－。【合田月美】
アパートは、関東大震災の復興義援金で建てられ東京大空襲でも焼け残った。しかし、０４年に老朽化で
取り壊され、今は３３階建ての超高層住宅に様変わりしている。
内海さんは、嫁入りや出産、七五三などの行事があると、カメラ持参で駆け付けた。大衆政治家として
名を刻んだ浅沼も、大切な来客があった時に呼び出し「サブちゃんうまく撮ってくれや」とポーズを取った
という。「銭湯ではあの巨体で、『こんちくしょう、（社会党の）左派の野郎』とか言いながらドボーンと入って
くるもんだから、こっちもザバーッと頭から湯をかぶったもんよ」。１９６０年１０月、日比谷公会堂で受難
した浅沼の葬儀の日は、住民たちが泣いて帰らず、アパートの中庭を埋め尽くしたという。
内海さんは、元日に一升瓶から茶わんで酒をもらう羽織姿の浅沼、屋上で得意げにバットを振り回す
少年、子供たちに取り囲まれてアパートを出ていく花嫁ら多くの住民を撮影した。「今は『隣は何をする
人ぞ』ですっかり変わっちまったけど、ちょっと前までそんな暮らしがあったんだって知ってほしいんだ」。
内海さんは「昭和３０年頃（ごろ）の同潤会アパート」と題した展示会をキヤノンギャラリー銀座（中央区
銀座３、１５日まで＝日曜休館）で開いている。
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