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アジア三国志 ビル・エモット 著/伏見威蕃 訳
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英『エコノミスト』誌元編集長による、アジアの新パワー・ゲームをインド、中国、日本を中心に俯瞰したもの。
俯瞰したといっても、記述は歴史や現況、抱えている難問や他国との軋轢、さらには強みや弱みまでもデータを
駆使し、独自の解釈を加えて検証する。そして、「あらゆる分野のいさかい、歴史的な恨み、地域の発火点などが
三カ国を取り囲み、押しつぶそうとする」が、「見込みの高い楽観主義」に立つか、「まことしやかな悲観主義」に
立つかは読者の判断に委ねられる。
九つの進言の中で最も印象的なのは、日本の「国際社会における最大の弱み」である歴史問題に対する
「賢明な措置」。抽象的な問題と特定の出来事を切り離す、ドイツの「記憶、責任、未来財団」を見習うべき、
など知日派らしい現実的な提言が示される。
前2作『日はまた沈む』、『日はまた昇る』より広い視野でアジアと日本を見直すための格好の続編。