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国内政治は7月29日(日)の参議院選挙に向けた各党の駆け引きが本格化する。与党
が強引に進めた(1)社会保険庁改革、(2)公務員制度改革、(3)政治資金法改正はい
ずれも羊頭狗肉の見かけ倒しの政策である。十分な審議を尽くさぬ社会保険庁解体
は同庁の無責任体質をさらに拡大させる可能性が高い。公務員制度改革は天下りの
全面禁止ではなく、天下りの制度的存続を保証する法律改正である。政治資金法改
正は赤城農水相の事務所費問題が表面化して再び明らかになったように、領収書添
付が5万円以上、政治資金管理団体のみを対象として政治団体を対象からはずす「
ざる法」の典型である。
経済的格差は拡大し、格差が固定化されている。政府が進めている財政再建のた
めの歳出抑制は医療、介護、年金、教育、障害者支援などを直撃し、格差拡大を牽
引するものである。「消えた年金」問題で、政治に対する国民不信が噴出するなか
で、野党がこれらの問題について、いかに分かりやすく具体的に国民に真実を伝え
られるのかが問われている。
小沢一郎民主党代表が表明するように、今回の参議院選挙は自民党長期支配の日
本の政治状況を大転換できるかどうかの最大の試金石である。政治の諸問題に真摯
な眼を向けて真剣な姿勢で参議院選挙に臨むことが有権者の責務である。日本の有
権者の資質が問われる選挙でもある。大幅な与野党逆転を金融市場は中期的に確実
に好感することになると考えられる。
2007年7月17日
スリーネーションズリサーチ株式会社
植草 一秀
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