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来年に迫った裁判員制度の実施に向け、日本新聞協会(新聞・通信など140社加盟)は16日、事件報道に
関する留意点などをまとめた「裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針」を発表した。
一般の国民から選ばれる裁判員が公正な判断を下せるよう、指針を念頭に加盟各社はそれぞれの責任で努力
していくとしている。
刑事裁判には、有罪判決を受けるまで、容疑者や被告は犯罪者として扱われないという「無罪の推定」の原
則がある。
裁判員制度の立案過程では、事件報道が国民に「容疑者が犯人である」との予断を与え、裁判員の公正な判
断を妨げる恐れがあるとして、報道規制を求める意見も政府内などにはあった。これに対し、新聞協会などは
「規制は弊害が大きい」と反論。裁判員法に報道を規制する規定は盛り込まれなかった経緯がある。
今回の指針では、事件報道には、犯罪の背景を掘り下げて再発防止策を探ったり、刑事手続きが適正に進め
られているかチェックしたりする使命があるとしたうえで、報道に際して今後、留意すべき点を挙げた。
容疑者の自白など捜査段階の供述については、時間の経過で変遷する可能性があることを踏まえ、「(供述
内容が)そのまま真実であるとの印象を与えないよう配慮する」とした。
容疑者を取り巻く人間関係や生い立ちについては、「事件の本質や背景を理解するうえで必要な範囲内で報
じる」とし、事件に関する専門家などのコメントも、「容疑者が犯人であるとの印象を読者に植え付けること
のないよう十分留意する」と述べた。
裁判員法が、裁判員への接触を規制したり、評議の秘密に関して裁判員に守秘義務を課したりしている点に
ついては、「裁判員等の職務の公正さを確保するという立法の趣旨を踏まえた対応をとる」と言明している。
裁判員による裁判は来春以降、各地裁で始まる。それに先立ち、今年10月には各地の選挙人名簿から裁判
員の候補者が選ばれ、通知されることになっている。
新聞協会の指針について、最高裁の小川正持刑事局長は「新聞協会が自主的にまとめた指針であり、取材・
報道において、裁判員制度における公正な裁判の確保に十分な配慮が払われることを期待している」とのコメ
ントを出した。
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