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1月26日の日本経済新聞・朝刊
【肝炎治療 助成伸びず―5ヵ月間で目標の4分の1以下】
昨年4月に始まった肝炎患者へのインターフェロン治療費助成制度の利用が伸び悩んでいる。
厚生労働省は年間10万人の助成を見込んだが、昨年8月までの受給者は約2万2000人と目標
の4分の1以下。患者からは「所得制限が厳しい」との批判が強く、同省は来年度から所得などの
要件を緩和することを決めた。
抗ウイルス薬「インターフェロン」治療はB型、C型肝炎に有効で根治できる場合もある。ただ約1
年間にわたって月約7万円を自己負担する必要があり、治療をあきらめる患者もいた。今年度
導入された助成制度は世帯所得に応じて、負担上限を月1万~5万円に軽減。年間約5万人いた
治療者数を約10万人に倍増させ、7年計画で患者をゼロにする目標を掲げている。
だが同省が都道府県ごとに助成制度の利用状況をまとめたところ、4~8月の5ヵ月間で、申請
患者は2万6444人で、実際に受給に至った患者は2万2562人にとどまった。
助成制度の導入後も利用者が増えない状況について、同省は「今年度に導入されたばかりで、
周知が不十分だったことが原因」と説明する。
ただ、患者団体からは「制度の使い勝手が悪い」との批判の声も上がる。
日本肝臓病患者団体協議会の赤塚尭事務局長は「収入要件が世帯単位のため、本人の収入が
少なくても高い自己負担を求められるケースがある。家族に負担がかかることを理由に治療を
ためらう患者もいる」と指摘。「助成制度で治療が受けやすくなったとはいえない。もっと利用
しやすい制度に改善してほしい」と訴える。
こうした指摘を受け、同省は来年度から所得要件を緩和する方針。自己負担の上限額を決める
基準となる「世帯全体の住民税の総額」を算定する際、扶養関係がない同居人の税額は除外できる
ようにする方向で検討する。また、治療期間が長引いた場合に対応できるように、現在は1年の助成
期間を最長1年半に延長する。