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FTAと農業改革について(1) (武 正志)
2007-05-14 16:21:36
1 FTA・EPAを巡る議論と日本の立場について
FTAを巡る国内での議論は、次のように推移してきたと理解しています。
①WTOとの関係でみると、FTAには貿易転換効果、連鎖貿易転換効果
(貿易転換効果をFTAで意図的に作り出すことによって他国のFTA締結を誘発すること。適当に名前をつけました)、
国家によって差別待遇をし、世界経済をブロック化すること、等の弊害があるため、
日本はWTO交渉を重視してきた(ただしWTO自体に問題がないということではない)。
②ところが、米国等諸外国のFTA締結が進むにつれ政府も考え、
対抗措置として日本はEPAでいこうということになった。
③近年、韓国がスピード感ある戦略的なFTA締結をし、
日本の輸出産業にも弊害が見られるようになった。
政府も焦り出し、EPA/FTAの議論を早くまとめようとしている。
概略こんなところだと思います。
特に最近の米韓FTAは衝撃を与え、ますます焦りを募らせている、
その中間報告が経済財政諮問会議・グローバル化改革専門調査会の1次報告だと思います。
コメント字数の関係で説明は省きますが、私の意見は、
①日本政府はあわててEPA/FTA締結を加速化する必要はない。
例外品目を十分確保したこれまでのスタンスでよく、
その結果仮に交渉が難航したり決裂したりしても、それは仕方がないことである。
タリフラインベースで高い実績をあげるという修正事項は不要である。
②米韓FTAの評価・検証は、6月頃明らかになるという韓国国内の農業政策や
それに対する国民の動向を見極めてからでよい。拙速に過大評価してはならない。
③外交戦略として、自由貿易主義をとる日本の立場から、ガット第24条の削除を諸外国に提案する。
④今年度から実施されている国内農業改革の不十分なところを同時並行的に検証し、
可及的速やかに修正する。
⑤政府間協定で行うべきことと民間ベースでの課題(契約等)や取組みを整理し、
国民にわかりやすいかたちで伝えること。
以上です。