09/06/19 10:41:36
【下流の子は下流】「偏差値の高い庶民」能力は身分相応 - 大学の大衆化に警鐘
元厚生事務次官宅が相次いで襲われた事件で、「官僚の妻」の悲劇が浮き彫りにな
った。今回は、同じ官僚夫人でも、かなり特殊な世界である「外交官夫人」につい
て書いてみたい。「外交官夫人という響きにあこがれた女性はかって多く、外務省
の秘書課にお見合い写真が山と積まれていたのは有名な話だ。キャリア外交官とし
で外務省に入省すれば、最低でも小国の大使ポストは保証される。大国の大使夫人
ともなれば、完全にセレブリティーだ。だから、外交官夫人となるのは上流階級出
このうえないのである。皇太子妃雅子さまの父である小和田恒元国連大使の夫人が
元チッソ社長の令嬢であるのはよく知られた話だ。外交官の事実上の最高ポストで
と呼はれ、後に東京銀行頭取を務めた柏木雄介氏を父に、やはり元大蔵0Bで元明
の世界である。しかし、「今では、外交官と結婚したいというお嬢様はあまりいま
せんね」と、50代のある大使の夫人は顔を曇らせる。夫人の嘆きはこう続く。「外
交官」といえば聞こえはいいが、給与は普通の国家公務員と一緒で、民間の一流企
業と比べればはるかに安い。だが、入省後すぐに留学に出され、その後は在外公館
で勤務する外交官は、外国に出れば、若くても夫婦そろって招待を受けることが多
い。だから、外交官の妻の日常は衣装代など費用がかさむし、自宅で「おもてなし」
をするのも一般的なので、食器や家具にも気を抜けない。昔は名家の娘が嫁いでい
たので、実家から援助を受け「薄給時代」をしのぐケースが少なくなかった。だが、
外務省の度重なる不祥事で外交官の社会的地位やイメージが大きくダウン。「妻加
俸」と呼ばれる家族手当にも厳しい視線が注がれる。娘を嫁がせようと考える家は
激減した。外交官試験が公務員試験に統合され、〈普通のひと〉が外交官になり始
めた。大学時代(主に東大)の恋人と結婚するケースも増え、結果として外交官妻
も「偏差値の高い庶民」ばかりに。有名企業のオーナー一族に育ったこの大使夫人
は言う。「彼らは思っていた生活と違うと簡単に辞める。我慢することができない。
公務員制度改革が進めば、身分も保障されないので、外交力の低下が心配です」