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課長「毎日、転用話ばかり」 農地不正事件
2009年8月4日 朝刊
「行政が農業を守るという高い意識で運用しなければ農地法の趣旨は骨抜きになってしまう」。
捜査関係者はこう指摘していた。
3日、愛知県豊田市の農政課長(54)らが書類送検された優良農地の不正転用事件。
不正転用は全国で発覚が相次ぎ、自治体の不適正な許可も目立つ。
県警は、農政課長について「転用を望む業者の意向に沿った」とみているが、刑事責任についての判断は今後、名古屋地検に委ねられる。
「『あそこは転用できたのに、ここはなぜできん?』と。農業を守るはずが、転用の話ばかり」。
農政課長は1月、重圧にさらされる仕事の日常を本紙の取材に明かした。
豊田市内では、本社を置くトヨタ自動車の業績が好調だったこともあり、産業用地や住宅用地が不足気味。
転用は昨年度だけで504件に上り約44ヘクタール分の農地が消えた。
市の窓口は、転用を求める業者や地主からの相談が多い日は100件以上。
「目的外の使用はいくらでもある」と話す市内の業者もいる。
農地転用をめぐり全国で行政の対応の甘さが目立つ。
農林水産省によると、2007年に都道府県が転用を許可した約1400件を抽出調査したところ12%が不適切と判明。
08年中に不正転用は約8200件発覚した。
一方、社長が送検された不動産業者は登記簿によると1981年に設立され、資本金は500万円。
市街化調整区域で工場などの建設を多く手掛け「農地転用のエキスパート」と呼ぶ関係者もいる。
業者の意向に沿った課長について、ある捜査関係者は
「圧力というほどのものはなく、行政マンとして毅然(きぜん)と申請を断ることができたはず」と指摘した。