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<iPS細胞>特許の京大、無償で技術提供…国内研究に弾み
9月12日6時1分配信 毎日新聞
山中伸弥・京都大教授が発明した人工多能性幹細胞(iPS細胞)に関する最初の特許は京都大が持つことになった。
06年8月、マウスのiPS細胞作成を論文で発表して以来、再生医療などの切り札として、世界が注目していた特許。
今回の取得は国内での研究を大きく推進するとみられる。【奥野敦史、永山悦子】
◇企業とも協力
iPS細胞を巡っては、研究と並行して特許取得も世界的な競争になっている。
特許の取得が、莫大(ばくだい)な利益を生み出すからだ。74年に米スタンフォード大の研究者らが出願した「遺伝子組み換え技術」特許は、97年の期限切れまでに2億5000万ドル(約270億円)の収益を生んだ。
海外の企業などが特許を取ると、日本の大学や企業は特許使用料の支払いを求められる可能性が高い。京都大は国内の研究機関に無償で技術提供する意向を示しており、京都大の寺西豊教授(知的財産権)は「基礎研究、医療応用の両面で大きな意味がある」と語る。
また、世界に先駆けた特許取得は、京都大が世界の研究を主導する足がかりになるとみられる。
◇知財戦略が奏功
日本の研究現場は長く特許への意識が低かったが、iPS細胞作成が一変させた。
京都大は07年7月、知的財産部を改編し産官学連携本部を新設。知財戦略を練ってきた。
05年12月以降、マウスiPS細胞に関する特許の国内出願、ヒトiPS細胞の内容を加えた国際出願と、着実に手続きを進めた一方、
出願内容のうち「最も堅い」部分を分割して早期成立を目指した。
松田一弘教授(知的財産法)は「特許庁の担当者に面談し、詳しく説明した。発明の新規性が伝わり、早期の成立につながったと思う」と振り返る。