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伊藤ハム工場近くに「毒ガス室」 シアン化合物 旧日本軍跡から漏出か
10月29日3時11分配信 産経新聞
伊藤ハム東京工場(千葉県柏市)の井戸水から基準値を超えるシアン化合物が検出された問題で、
かつて同工場の約300メートル東に旧日本軍の「毒ガス室」と呼ばれた施設が存在したことが28日、分かった。
環境省が全国の旧日本軍施設の管理状態を調べる中で、平成18年に明らかになった。
施設跡から漏れたシアン化合物が、井戸水から検出された可能性があり、柏市保健所などが関係を調べる。
環境省によると、旧日本軍が開発した毒ガス弾の一つに、青酸ガス(シアン化水素)を瓶詰めしたものがあるという。
同省は平成15年に茨城県神栖町(現神栖市)で地中に旧日本軍の毒ガス成分が染み出し、近隣の井戸水を飲んだ周辺住民に健康被害が出た問題を受け、各地で調査していた。
同省の資料や当時の部隊関係者によると、工場東側の一帯は終戦まで軍用地で、兵舎や弾薬庫などがあった。駐留部隊の少尉だった男性が作成した見取図にも「毒ガス室」の存在が記載され、部隊で勤務した男性(83)は取材に、
「『ガス講堂』と呼ばれ、ごく一部の兵が攻撃や防御の教育を受けるための施設があった」と証言した。
シアン化合物はメッキ工場の工程で使用されるケースもあるが、伊藤ハムや柏市保健所は、現在まで周辺にシアン化合物を用いた工場は確認していない。
同社は「工場は昭和43年にできたが、周辺の『毒ガス室』は初耳」(広報・IR部)としている。
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伊藤ハムは28日、原因究明のため、同工場の操業を29日から停止すると明らかにした。