06/11/06 23:10:56
読売社説 [社保庁改革]「公務員の身分に安住させるな」
もう一度出直して来い―。そんな国民の声が強かったということだろう。
先の通常国会で成立せず、今国会で継続審議されている社会保険庁改革関連法案は、審議未了で廃案となる見通しだ。
自民党は、社保庁職員を身分の保障された公務員のまま新組織に移行させる現行案を白紙に戻し、来年の通常国会に
改めて新法案を出す、としている。
新組織を非公務員型の独立行政法人とする線が有力だ。これまでの社保庁に対する不信の根深さを考えれば、妥当な
方向であろう。
現在、審議されている法案は、社保庁を「ねんきん事業機構」に改組するというものだ。
重要事項は外部の専門家による「年金運営会議」で審議し、個人情報の管理や不正のチェックをするために「特別監査官」
を置くなど、これまでの役所にはない組織形態が提案されている。
だが、位置づけは「厚生労働省の特別の機関」というもので、厚労省の外局であるこれまでの社保庁とほとんど変わらない。
職員の身分も公務員のままだ。
この点については昨年、法案の土台を作った有識者会議でも、最後まで強い異論があった。「新組織の職員は公務員の
身分に安住させず、独立行政法人化すべきだ」との主張である。
加入者情報の漏えい、巨額の随意契約に絡む汚職、監修料問題、年金の支給ミス―。数えきれぬ不祥事の根底に、
公務員のぬるま湯体質があったからだ。
しかし、まずは民間出身の村瀬清司長官による改革を見守ることにした。職員は引き続き公務員とするものの、「成果が
なければ今度は非公務員化させる、との緊張感を持って取り組め」という、いわば執行猶予付きの身分保障だった。
ところが、その後の社保庁はどうだったか。国民年金保険料の不正免除などが全国で38万件以上も発覚した。
各地の社会保険事務所は事実を隠蔽(いんぺい)し、1700人もの処分者を出した。
やはり公務員組織のままでは、体質は改まらない。非公務員化して、怠惰な職員には去ってもらう必要があろう。
一番良くないのは、現在の社保庁が続くことだ。政府・与党はできるだけ早く新たな組織像を示すべきである。(一部略)
2006年11月6日 読売新聞 URLリンク(www.yomiuri.co.jp)