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いのち見つめて 地域医療の未来 /鳥取
第1部 医師不足 (2)休止する診療科
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志だけでは乗り切れぬ
「本人の体は大丈夫なのか」「今いる先生たちがくたびれなければいいが…」。医師から病気や家族の介護などさまざまな事情で
退職の意思を伝えられた時、岩美病院院長の渡辺賢司(55)はいつも二つのことが頭に浮かぶ。
「常勤の先生を探さなくては」。心療内科外来と認知症病棟が昨年六月から休止中だ。鳥取大医学部付属病院に医師派遣を依頼したが、
精神科医自体の数が少なく、外に出せるほどの余裕がないといわれた。
この病棟は、2004年に新築移転した際の目玉。現状を打破したい気持ちは強い。「病棟を遊ばせておくわけにはいかない」。
他の方法での活用も含めて考える日々だ。
勤務医受難
昨年7月下旬、もう1つ休止した。小児科外来。医師が産休に入ったためだ。「産休なら分かっていたこと。なぜ確保しとかなかったんだ」。
住民から苦情が来た。「代わりはおいそれとはいない…」。言葉を飲み込む。
医師の確保難で診療を縮小する状況が近年生まれている。鳥取県内でも診療科を廃止したり、診療日を週1回に減らして
非常勤医師に来てもらうなどして、診療科の廃止だけは免れている病院もある。
岩美病院は兵庫県北部の但馬地域もカバーしている。入院患者の2割はこの地域からだ。浜坂病院(兵庫県新温泉町)の整形外科が
昨年4月から7月下旬まで休止した際、さらにぐっと増えた。一時期、「担当医がダウンするのではないか」と渡辺が恐れたほどだ。
鳥大が当直のみの応援に限って医師派遣に応じ、何とかやりくりする日々が続いている。
常勤医が1人でも減ることはどの病院でも影響が大きい。ここでは院長自身も常勤医の1人。外科を受け持ち、当直にも入る。
でなければ他の医師の負担が格段に増えて回らない。
「勤務医受難の時代と言われて久しいが、確かに医者になろうとした時の志だけで乗り切れる業務ではない」。渡辺が静かに言う。