06/10/13 22:39:51 jMtbuPCM
会社で営業を担当していますが、仕事中に交通事故を起こし、営業用の車を大破してしまいました。会社では、私の不注意が原因だとして、
給料から修理代を差引くと言っています。そのようなことが許されるのでしょうか。
A.
労働基準法(第24条)は、賃金については「その全額を支払わなければならない」と定めており、社会保険や所得税などの法定控除のほか、
社宅料、親睦会費、労働組合費など賃金控除協定で定めたもの以外の賃金からの控除は認めていません。
ですから、使用者が労働者に債権を有しているからといって、一方的に賃金の一部を相殺して支払うことは許されません。
この点について、最高裁も「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者の労働者に対して有する債権をもって相殺することは許さない・・・。
このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変わりはない」と判示しています(日本勧業経済会事件 最高裁 昭和36・5・31)。
もっとも、実際に故意又は過失によって権利の侵害を受けた場合には、現実に生じた損害について賠償を請求することは禁止されていませんから、
使用者が、賃金を全額支払いした上で、別途、車の修理代を請求してくることはありえます。
その場合であっても、損害の公平な分担という観点から、会社の労働者に対する損害賠償請求権は一定の範囲で制限されることが判例上定着しています。
ご相談の場合も、あなたの過失の大小、使用者の管理責任上の過失の有無など、諸般の事情を考慮して損害賠償額を決めるべきでしょう。
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