06/10/13 22:31:19 jMtbuPCM
労働基準法24条1項は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定めています。このうち、おたずねのケースで問題となるのは、「全額を支払わなければならない」という部分(全額払いの原則)についてです。
この原則は、使用者が労働者に対して有する債権を一方的に労働者の賃金債権と相殺することも禁ずるものと解されています。これを許すと賃金を確実に労働者に受領させるという本原則の趣旨に反することになるからです。
したがって、おたずねのケースでも、使用者による一方的な相殺は許されないと考えられます。
もっとも、労働者の同意を得て相殺をすることは、その同意が労働者の自由な意思に基づくものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する時は、同法24条1項に反しないとする判例があります。
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