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(つづき)
10月6日「3高裁判決分かれ目は?」②
裁判所の役割めぐり相違
憲法判断が必要かどうかをめぐって立場が分かれる根底には、「裁判所の役割は何か」や
民主主義についてのとらえ方の違いがある。
憲法判断に懐疑的な裁判官たちは「我々は民主的に選ばれていない」と語る。「だから、
有権者が選んだ代表者による、政治部門の決定に口を挟むことはなるべく慎むべきだ」
というわけだ。
これに対し、「裁判所がきちんと憲法判断することは、民主主義に貢献する」と考えている
専門家も多い。よりよい民主主義のためには、単に多数決が行われるだけでなく、
市民に開かれた実質的な議論がどれだけ広く行われたかを重視すべきだという「討議民主主義」
に基づく。この考え方は討議の広がりを通じて、政治家や官僚の特権性・排他性を抑える
ことをめざすものだ。
木下智史・関西大法科大学院教授はこうした立場から、違憲判決をきっかけに、首相の靖国参拝
をめぐる議論が広く巻き起こり、討議がさらに活性化されることを期待している。
一方、今回のケースで損害があったことが認められれば、憲法判断は必ず必要になる。ただし、
損害を認めることにはためらいを覚えるのが、現在の下級審の裁判官の一般的な感覚だ。
内容は違うものの、最高裁は9月、選挙権を行使できなかった外国在住者に1人5千円の損害賠償を
認めた。この判決に触れ、「靖国参拝訴訟でも同じように、憲法で保障された権利が侵害された場合、
実際の損害額の立証が難しくても認める『名目的損害賠償』の考え方を採れば、論理としては
完結したと言える」という最高裁関係者もいる。
東京、高松高裁の判決について、原告側は上告する方針。政界にも「早く最高裁の判断を仰ぎたい」
との声がある。「憲法の番人」として最高裁がどのような最終判断を示すのかが注目される。