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「事実より重要なものがある」
那智 文江(民衆法廷陪審員 59歳 東京都)
今週末に『銀河ヒッチハイク・ガイド』なる映画が封切り
される。イギリスの人気SF小説を映画化したものだ。
地球の消滅からたった一人生き延びた冴えない男が、友人
である異星人と一緒に宇宙を彷徨う話だが、その中で重要な
役割を果たすのが、映画の題名ともなっている「銀河ヒッチ
ハイク・ガイド」なる書物であり、これは銀河系のあらゆる
事象を網羅した宇宙百科事典とでもいうべきものである。
原作の小説では、この書物についての興味深い記述が散見
される。最も重要だと思われるのは次の部分である。「情報
が間違っている場合は徹底して間違っているけれど、大きな
矛盾がある場合、過てるのは常に現実のほうである」(原作
より抜粋)。
現在、インターネットの普及により、マスメディアの報道
に対する不信感が増大しつつある。某大手の新聞などは記事
に誤報や捏造が多いと槍玉に挙げられることもしばしばある
ようだ。
だが、待って欲しい。事実を事実のままに報道することが
果たして正しいと言えるだろうか。メディアとはあくまで、
世の中の歪さを是正するべく思想を伝えるものであり、その
ためなら多少の誇張や歪曲が入っていてもいいではないか。
重要なのは社会のあるべき姿を示すことであり、事実その
ものではない。報道の内容と事実が乖離しているというなら、
事実のほうが間違っていると認識するべきだ。
同じ島国でも日本とは違い、女王陛下が治めるイギリスの
国民は、そのことをよく理解しているようだ。日本の国民も
報道への理解と民度をもっと高めるべきである。